アーティストの中身を深堀りするメディア

2022.3.30 - COLUMN B-SIDE

転売ヤーについて

みなさん、お久しぶりです。YUTOです。
この度、新しく「NAKAMI」というメディアが始まりました。 アーティストの中身を丸裸にするようなインタビューだったり対談を行う。そんなコンセプトのもとで始まったわけですが、 まずは僕も色々と丸裸にならないといけないなあと思い、この度色々なテーマについて本音で語るコラムを始めることにしました。 今回は音楽業界とは切っても切り離せない、永遠のテーマ「転売ヤー」について。 独断と偏見にまみれた僕の中身を交えながら毒々語ろうと思います。


1. はじめに&結論

結論として言いますと、僕は転売は悪だと思ってます。これは一切ブレずに。
でも未だになぜダメなのか?ここについては僕もあまり理解していませんでしたし、調べても100%は理解できていません。今回はここにフォーカスを当て、拙いなりにも説明していこうと思います。


2. そもそも転売とは?

読んで字のごとく、自分で商品を購入して、他者に販売する行為を指します。現在だと転売という言葉自体が『高額になりそうな商品を買い占め、定価以上で販売する』と言った認識の方がスタンダードになってきているかもしれません。例えばいらなくなった服をフリマアプリで販売するのも一種の転売に当たるといえるでしょう。でも、それはあくまで不要なものを、定価より安く販売しているため、悪質さは感じられないと思います。

じゃあ何が問題なのか?それは高額であっても購入させるために、買い占めを行うことで、市場へ出回る数を減らすことが問題なのだと思います。最近だとゲーム機のPS5が買い占められ、いたるところでプレミア化、コロナの初期にはマスクやアルコールの買い占め&高額販売が行われており、「本来、必要な人のところに適正価格で届かない」状況が続きました。要するにメーカーは 基本的に需要に供給が追いつくように設定しているはずなのに、意図的に供給を妨害し、利益を上げていることが問題なのだと思います。


3. 転売は犯罪なのか?

例えば、ライブチケットの転売などは2020年の6月から【チケット不正転売禁止法】と言う法律が定められ違法となり、1年以内の懲役と100万円以下の罰金が課せられます。昔で言うところの 『ダフ屋』なんかがこれに当たりますね。ただし、1回限りの販売とか、定価以下での販売はこれには当たりません。つまり、利益を出すために何回も定価以上で販売することが犯罪に当たる 訳です。でも、それ以外を罰する法律って現状無いので、実は犯罪行為じゃない…ようにも感じ ますが、他にも転売が犯罪になる場合があります。その代表格が【古物営業方違反】でしょう。 次はこれについて説明していきます。


4. 古着屋、古本屋、中古レコ屋などの仕組み

新品だろうが中古だろうが、買取や販売を行って利益を上げる場合、基本的には古物商許可証が必要なんです。どこからがこれに該当するのかは正直難しいですが、上に記載した不用品をフリマ アプリで販売するくらいは該当しないでしょう。反対に、初めから転売目的で大量に買い占めて、同じ商品を販売すれば、恐らくこれに該当します。

このサイクルで利益を上げているのが何かというと、恐らくイメージするのが古着屋や古本屋、中古レコードショップなどでしょう。もちろん、多くのお店が古物商許可商を獲得しているはずです。「でも、定価より高額なレコードとか服もあるやん!」と思うかもしれませんが、あれはあくまで当時はそこまで価値のなかったものが、今は市場に出回っておらず、プレミア化して価値が上がっているわけです。まあここまで言わなくても皆さんは理解していると思いますが、時間が 経って供給が終わってたり、当時から流通が少なく今になって価値が上がり、需要が高まったものですね。インディーズバンドが100枚限定で販売していたCDが、10年後にメジャーデビューし て大人気アーティストになった場合とかがそうでしょう。古本屋なんかも基本的には中古だから 定価以下で購入できるし、定価で購入したくない人が中古を購入する。そんな流れで経営が成り立っているわけです。


5. 転売と中古販売業回の違い

つまり、転売は「意図的に買い占めを行い需要を高め、許可を取得せずに繰り返し商品を販売している」。中古販売は「不要になったものを買取、中古でも欲しいそうに定価より安く販売する。プレミア化したものは定価より高めで販売する」ざっくり言うとこんなイメージでしょうか。ちゃんとお店として、仕事として認められてるよー!ってことなのか、許可はとってないけど、商品の売り買いで利益出してるよー!の違いだと思います。


6. 実際にあった出来事

実は一度、僕らが前にやっていた「SPICE」でも被害にあったんですよね。


福岡出身のラッパー、クボタカイを特集した号があったんですけど、僕らが普段から仲良 くしてもらっている大阪のバンドPJJの音源をその号につけてリリースすることになったんです。もちろん、リリースって言ってもフリーペーパーですから無料。タワレコの方々にもご協力いただいて目立つところに置いてもらい、告知も万全にして、さあリリース 日。


Twitterでタワレコに設置させていただいた旨をツイートして1時間後、「もうなくなっ ている」とDMをいただいたんですよね。音源付きとはいえど、なんかおかしい。そした らPJJのフロントマン、アツシさんから夜に連絡があって、「メルカリで売られてるわ。 しかも質問したらまだ在庫ありますって言うてる。」


そうです。転売ヤーが全部持って帰ったんですよね。しかも一人だけじゃなくて、2~3人くらい販売してるやつがいるとのこと。いい音楽を知って欲しくて、みんなで忙しい仕事の合間を縫って作って、PJJもわざわざ無料で音源をつけてくれたものを、知らないやつが販売して利益を上げている。この事実に当時は怒り狂ったんですが、【古物営業方違反】に当たるのかどうかは微妙なところ。元から無料なものを大量に持って帰って販売す る場合はどうなるんでしょうか。これは正直わかりません。


7. まとめ

最初にも言いましたが、やっぱり僕は転売は悪だと思っています。もうこれはモラルの問題なんですよね。本来必要にしている人へ適正価格で届かないのはやっぱりダメだと思うんです。販売元のメーカーは転売ヤーが購入しようが、必要としている人が購入しようが、利益は一緒ですが、市場に高額で出回っている現状を目の当たりにすると、急遽増産体制を図らなければいけない。で も、増産する頃には需要は戻っている…。なんてことが起こりかねないわけです。つまり、総合的に見るとメーカーはデメリットを抱えますよね。


それから、初期には注目を浴びて高額化していたものが、増産されることによって一気にフリマ アプリなどで定価以下で出回ると、「ブームは終わった」なんてマイナスイメージを招き、結果としてメーカーやブランドのファン離れにも繋がります。ある意味、マーケット戦略の妨害とも言え るかもしれません。アーティストのチケットが格安で投げ売りされてたら、「あ、このバンド人気無くなったんや」なんて思うのが人間。虚像のイメージに騙されてしまうわけです。


そんな理由で、転売は本当に良くないと思います。「でも、犯罪じゃないから」なんて言われたら それまでなんですが、『本来求めている人が正しい価格で購入する』『自分が価値を感じるもの には投資する』それがあるべき姿だと思います。メーカーだって市場調査を行って、販売しているわけですから。やっぱりそこに第3者が介入して利益を上げるのはよくないんです。


あるべき商売人の姿とは何なのか?自分の利益のために、他者に迷惑をかけてもいいのか?皆さんもこの問題について考えてみましょう。今、私たちの人間性が試される時です。

writer: YUTO

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