富山県を拠点に「日常を祝う」をテーマとし、日本の様々な祝日を楽曲にしてきた5MC1DJのラップバンド、ザ・おめでたズ。タワーレコードの広告シリーズ「NO MUSIC, NO LIFE. @」にも選出、4月22日には3rd アルバム『大人』をリリースするなど、ますます勢いに乗っている彼ら。今回は1st EPリリース時代から追いかけ、イベントへの出演オファーを行い、共演を果たしたNAKAMIのスタッフが、バンドリーダーのヒヒ(MC.グラフィックデザイナー)にWebでのインタビューを敢行した。
取材・編集:YUTO

どんな迷路にでも、必ず出口がある
-お久しぶりです。そしてまずは3rdアルバムの発売、おめでとうございます!
こちらこそお久しぶりです。神戸でのイベント以来なんで2~3年ぶりですかね?インタビューも嬉しい限りです。
-さて、いきなりですけども今作『大人』。なんだか意味深なタイトルですが、どういった経緯でこのタイトルに決定したんでしょうか?
僕らは毎回、作品を出すタイミングで何か一つテーマを決めるんです。もとより記念日をテーマに曲をリリースしているので。今回は「アルバムを出したいよね」って話をしていた時に記念日を探してて、それが大人の日だったっていうことが一つ。あとはメンバーの年齢はバラバラなんですけど、全員が30歳を迎えるんですね。タバコやお酒が解禁される20歳が正式には大人なんでしょうけど、仕事だったりいろんな場面で本当の大人になるのってアラサーからだと思うんです。そう言ったところも含めて、大人の入り口っていう意味も込めてこのタイトルになりました。
-なるほど。確かに20歳ってまだまだ学生気分もあって大人になりきれてない感じがありますよね。世の中の見方が変わるのが30歳からというか。ちなみに今作のジャケットは誰がデザインしたんでしょうか?
これはセキがデザインしました。コンセプトは「大人迷路」なんですよ。これ視覚効果を利用してて、じーっと見てると大人って文字が浮かんでくるんですよ。距離感とかも影響するんですけど。
それから、歌舞伎や演芸で満席時に配られる「大入袋」って知ってますか?ちょっとお金を入れて配るものなんですけど、このデザインがシンメトリーなんです。「大人」もシンメトリーじゃないですか?ここからデザインの影響は受けてますね。
ちなみに大入袋って言うくせに、中身あんまり入ってないんです(笑)でも、中身ないのに「いっぱい入ってるんで!」ってアピールしちゃう部分も面白くて。ハッタリでもいいから楽しもうよ!って感じが素敵ですよね。そんな理由から大入袋をイメージしました。
あと、迷路になっているのにも実は意味があるんです。僕ら自身も20歳から30歳にかけて迷いに迷ってたんですよ。でも迷路って必ず出口があるんですよね。だから「ゴールを求めて迷っているうちに、ぼんやりとでも大人って文字が見えてくるよね」的なニュアンスも含まれてるんです。

-めちゃくちゃ想いが込められたジャケットなんですね。それにしても「大入袋」面白いですね!
完全にテーマと連動させてます。ハッタリ感がいいですよね。「つまらないものですが」って控えめな日本人の性格と正反対ですよ(笑)
-では、曲について聞いていきましょう。1曲目の“DANSU”ですが、PVがシュールですよね。松本人志監督の「大日本人」的な?
その通りです(笑)おめでたズには映像部隊があって、うちの太郎とシタバ、あと映像を毎回担当してくれている倉本くんっていう人の3名で構成されてます。“三途のリバーサイド”や“GOODBEER”とかも担当してくれてる、ある意味7人目のメンバーです。今回もその3人を中心に撮影を行っていたんですが、タイミング的にコロナの第4波が来てる時だったのかな?実際に会うのはきついけど、ダンスの映像をメインにするのは決めてたので、全員を仮想空間で会えばいいじゃん!っていうアイデアになりました。
-なるほど。内容についても聞いていいですか?
これ言っちゃって大丈夫かな?正直言うとおめでたズのPVでは珍しく、意味なんてほとんどないです(笑)最初は普通のダンスだったんですけど、なんか物足りなくなって色々怪獣とか足していきました。なんか戦隊モノみたいになってますよね。怪獣とダンスバトルして、最後は飛んでいって…。本当、僕も意味わかんないんですよ。完成した時爆笑しましたもん(笑)
-PVの最後に飛んでいったのも時に意味はないんですか?
ないですね!PV見てくれてるファンの人たちが考察とかしてくれてたら申し訳ないです(笑)インタビュー読んでがっかりしないでくださいね(笑)
-で、次は“ライドンタイム”ですよね。この曲、歌詞にダウンタウンのコントのネタが盛り込まれてますよね。みなさんダウンタウンがお好きなんですか?また、タイトルがライドンタイムなんで、「山下達郎の影響を受けてる曲なのかな?」と思いました。
よくお気づきで!「グランドチャンピオン」のネタです。ダウンタウンがというか、みんなお笑いが好きですね。ちなみにこの部分を考えたのはセキです。音に関しては最近は00年代のビートを追求するようになりまして。まあ、もともと僕らはその世代の音楽を聴いてきた世代ですしね。こういったツーステップやUKガラージ、それこそm-floにも影響を受けてますし、CHEMISTRYなんかもそうですね。その辺りの雰囲気やノリが僕らにも染み付いてますし、楽しいです。
あとタイトルに関してはまさに山下達郎から来ています。あの曲って「今を楽しもう」って歌詞なんですよね。今作『大人』を作るときには、この曲から作詞を始めたんです。テーマを決める中で、過去も未来もあるけれど、やっぱり今を楽しむことが大事なんじゃないかって話をしてて。今が充実してないと未来も幸せにならないと思うんです。そういうテーマというか想いが込められています。
-実は『大人』の中でこの曲が1番好きです。感覚の問題なんですけど、今までのおめでたズから、何かが大きく切り替わるというか、サウンド的にも成長した感じがしてるんですけど、いかがですか。
直前にYAZZYBEATSが『冬至』ってEPを出したんですよ。そのEPはハウスミュージックを主として作っていることもあって、その流れで今回提案してくれたって感じですかね。
-次が3曲目”GOOD BEER”。去年の夏ですよね配信スタートしたの。MVに80年代のビールCM的な雰囲気がよく出てますね!当時の映像のエフェクトというか。
もう半年くらい前の曲になります。まさに昔のCMとかを意識した作りにしてます。色使いも80年代のCMをブラウン管テレビで見てるような感じがよく出てて、いい感じで仕上がってると思います。
-YAZZYBEATSの1作目も鈴木英人さんや永井博さんの系統のイメージ・デザインでしたが、皆さんああいったレトロなものは好きなんですか?
そうですね。前回の『暑中見舞』ですよね。あのジャケットは僕がデザインしました。完成したトラックを聞いて、連想されるイメージをデザインをしてるんですけど、あのEPに関してはやっぱりシティポップだったり、80年代後半とか。日本でいうバブルの時代のイメージがしたんですね。
なんで、必然的にそのあたりのイラストレーターの方々と近いものになってると思います。
そのカルチャーが好きでデザインしたと言うより、どちらかといえば曲の雰囲気や感じたことを大事にしてデザインしています。
-メンバー内でそのあたりのイメージの相違とかは起きたりしませんか?
ずっと一緒にやってるメンバーなんで、想像上のビジュアルっていうか、音に乗っかってくる共感覚的な映像は理解し合えてると思います。イメージを一緒にキャッチボールしてる感覚みたいな(笑)
だから作って渡したら、「あ、もうドンピシャです」って言ってくれたりするので。「こういう風にしよう」じゃなく、「こうなったよ」みたいな感覚のほうが強いですね。
本当にお互いおまかせで。音とかに関してはやじまにおまかせだし、ビジュアルに関しては僕におまかせだったりするんで。それでも最終的には「いいんじゃね?」みたいな感じに最後なるんで、やってて楽しいですよね。
-ある種お互いの、そういうセンスとか持ってる技量みたいなところを信頼し合えてるからこそなせる業かもしれないですね。
そうですね。ぶっ飛び案も同じような感じだからやりやすいのかもしれないです。ちょっと話は戻りますけど、“GOOD BEER”は音的には結構新しいんですけど、やっぱりビールのCMって最近ないじゃないですか。
まあ、あるっちゃあるんですけど、ビールがすごく善として捉えられてた時代っていうのが昔だったんですよね。たばこのCMとかもたくさん昔やってたし。
-大人のアイテムって感じで売り出されてましたよね。言われてみれば最近ビールのCMってのどごしを謳ってたりとか、味の表現的なところだけが強めに出てるCMとかが多いですよね。昔のCMはカッコよかったと思います。
キャッチコピーもすごく素敵だったし、そういったところのちょっと憧れみたいなのがあって、なんかああいうテイストは作ってみたかったのもあります。
スタローンが飲むだけのCMとかめっちゃあったりして、それがかっこいいと思わせてる時代だったんでしょうか。「大人はこうあるべき」「こういうのがかっこいい」みたいな。カジュアルなファッションとして、こうビールだったりたばこだったりが推されたのが昔の時代でしたよね。
車のCMでも「室内広々~」とか言わないじゃないですか?(笑)「これが、男のクーペだ!」みたいなの出てくるじゃないですか。
-そうですよね、今のご時世にはないですよね。全体的にクリエイティブな時代だったと思います。なんでもとりあえずチャレンジできて。「コピーライターがこういう意図をしてるんだから、視聴者が悪く捉えても知るか!」みたいな?世間がどう思うから変えろ、みたいなのはなかったなと思うんですけど。
いい意味で一方通行だからでしょうね、受け手が側が。まあ、本当に昔のCMは好きです。YouTubeとかで流しながら作業しちゃうんですよね。なんか落ち着くんですよ。

初めて自分たちの歌で泣いてしまった
-続いて”コーヒーもう一杯”。前作のアルバム『レイトショー』でも”ポップコーンが冷めないうちに”をYAZZYBEATS名義で曲を入れています。これは意図して毎回1曲入れてるんでしょうか?
そうですね、まあもうお決まりになってる感じはありますし、アルバム的には調和感っていうところを担ってもいるんですね。最終的な味の調整というか、塩コショウを最後にして加減を見るっていう感じで。一番最後にYAZZYBEATSとして曲を作ってもらうんですけど、アルバムのテーマや世界観にYAZZYBEATSの曲でちょっと寄せてくっていうような感覚もありますね。最後にどこにYAZZY BEATSを入れるかで結構雰囲気が変わってくるので、やじまは大変ですよね(笑)
-(笑)5曲目が”Escalator”ですね。ぱっと聴いて一発目に、サウンドがすごく厚い印象を受けました。初期のおめでたズから機材が結構変わってたりとか、なんか録音環境変わってたりとか、「音をもうちょっと厚くしよう」みたいな議論があったりしたんでしょうか?
機材に関しては、確かに昔と比べるとちょいちょい新しくなってます。でも、その性能の差はだけじゃなくて、やじまの表現の幅がレベルアップしたんだと思いますよ。できることも前回よりは絶対増えてますし、引き出しも増えてるでしょうしね。多分それがガチッとはまったのがこの曲なんだとと思います。実際に”Escalator”はかなり僕的にも好きな曲ですね。
-歌詞が結構、アダルティックに仕上がってると感じました。大人になってからやっと分かるその言葉の重みってありますよね。たらればの話になってくるかなと思うんですけど。「あの時ああしてたらな…」て絶対みんなあると思うんで。
歌詞はTOMOROが書いてますね。僕この曲の中でやばいなって思ってるのが、「いつかの選択肢に囚われている」っていう部分、これいいですよねえ~。この歌詞を曲も含めて、デモで上がってきたの聴いたときに、普通にぽろっと泣けてきちゃって。
何か共感しちゃって、「あ~!」みたいな(笑)おめでたズの、自分たちの曲で泣きそうになるっていうのは初めてでした。いい歌だと思いますよ。TOMOROだけでアルバム作って出したいっすねいつか。

-6曲目が”ギブ&テイク”。過去に配信していた曲のリミックスですよね。がっつり歌詞が大人になってるのを見ると、まさにアルバムを体現してるものなのかなと。「大人になったかな前よりは」って言ってたり、選ぶときに通なものを上げようとしたりだとか、過去にリリースしてた歌詞の中の人物から成長してるんですよね。
そうですね。って言うか、差し入れをしようっていう感覚が、そもそも結構大人の頭だよなっていうところがありますよね(笑)でも「人のためになんか買っていってあげよう」じゃなくて、「手ぶらじゃなんかな…」って言うのが差し入れの本質じゃないですか?どっちかって言うと自分のためみたいな。
でもその感覚ってやっぱり社会人として成長した先にあるものなんですよね。だから今回のアルバムには入れようってなりました。ちなみに前回のリリース時にはヒヒと太郎で作ってますが、今回はシタバとセキでやってます。あろちょっとトラックもアルバムに入るからってところでちょっと今回奮発してます!イントロとか豪華じゃないっすか?(笑)
-この”フンパツ Remix”っていうタイトルもすごくいいなあと僕は個人的には思ってて。(笑)でもこの曲の主人公は大人になり切れてない大人ですよね。POPEYEとかに載ってるようなああいう大人じゃなくて。「君への差し入れ、並ばにゃ買えない豆大福」とかの話とかもあったりとか。
そうそう!ちょっとミーハーなんだよな。(笑)おめでたズらしさめっちゃ出てると思いません?僕は書いてないですけど、本当にいいと思いますよ。
-で、次が”たばたば”、もうほぼ全編PVがTOMOROさんで、雰囲気やテーマが若干今までのおめでたズとちょっと変わった雰囲気を持ってる曲だなと感じてるんですけど。
大人=たばこ、たばこ=大人ぐらいのイメージですよね。僕たちは富山の高岡で学生時代を過ごしたんですけど、よく行ってた喫茶店の看板に「たばこは心の日曜日」っていうすごい良いキャッチフレーズがあったんですね。いいな!いいよね!ってずっとみんなで言ってたんですよ。一種のミームみたいになってたぐらい、僕らの中で流行った心地よい言葉なんですが、それをテーマにして誕生したのがこの曲です。
-「たばこは心の日曜日」。いいキャッチコピーですね。僕も喫煙者なんでよくわかります。メンバー皆さん喫煙者ですか?
半々くらいかな?っていうかこの曲で関わっている人たちは吸ってて、関わってる人たち以外は吸ってないんですよね。うちのメンバーでいうと、喫煙者は僕と太郎とシタバとTOMORO。

-”たばたば”も含め、毎回俗に言う「チルい」曲、みたいなものが1曲入ってますよね。
まあたばこの日の曲を作りましょうってなった時にアゲアゲな曲を作らないですよね。まあ意図して1曲挟むっていうよりかは、自然とテーマがあってそこに沿って作ったり、間に挟まるべきしっとりとした曲になってた感じです。あと、そういうのもあるのでYAZZYBEATSでバランスとるっていう。
-で、最後が”程々”。またこれも「程々」って大人に響く言葉ですよね。なんかさっきの00年代の音楽を聴いてっていうお話があったように、これDragon Ashのオマージュも入ってませんか?「What’s going on.」っていう部分と「Life goes on…」ってところ。
えっ、マジ?気づかなかったけど、確かにDragon Ash感あるな(笑)「What’s going on. 俺ら未だ迷子」とことかね。この部分は、大人になってきても未だに全然わかんないこともたくさんあるし、迷子の状態。でも、おもしろい方おもしろい方にやってるだけでも悪くないよっていうのを伝えたかったんです。
-大人っていうテーマの総決算なリリックになってるなあと思ったんですけど、さっきの”ギブ&テイク”の話にもあったように、大人にはなってるものの、ドラム式洗濯機は買えない(笑)。まだそこまで大人ではないっていう。なんかそういう、意図してるかどうかは別として、曲と曲のつながりというか一遍してストーリーが読み取れるつくりになってるなあと。
なんか「大人なのか子どもなのかっていう圧倒的な線引きっていうのが無いね」っていう。正直、大人なのか子どもなのかってどうでもよくて、「子どもっぽいね。大人っぽいね」っていう言葉自体の意味もないと思っているんですよ。割と定点観測的な曲ではあるんですけど、結局色々大人になれたかって言うとそうでもないし、子どもであるかって言われてもそうでもない。そのほどほどのラインにいるんだよっていう曲ですね。
-リリックを見ながら僕も全曲全部聴かせてもらったんですけど、多分僕も今年31歳で皆さんと同年代なので。結構シンパシーというか共感を得られる内容でしたね!
TOMOROとセキとシタバが同い年ですかね。逆に聞きたいんですけど、31になる歳の人が、このアルバム聴いてどういう感想でした?

-うーん、どうですかね。やっぱり1番は「共感」だったんですよね。まさにさっきちょっと出てきた、ドラム式洗濯機の話とかがまさにそうで。20歳よりは収入も増えて余裕が出てきたけど、ぽんっとドラム式洗濯機を買えるほど余裕があるわけじゃない。でも、20歳の時に思い描いてた30歳ってそれができる大人だったんですよね。欲しいものはすぐに買える、車もちょっといいの乗ってるとか。そういう思い描いてた大人に自分はなれてない中で、成長途中の大人が描かれてる今作は、「自分のこと歌ってるんだなあ」みたいな感覚になりましたね。
なるほどなあ。ドラム式洗濯機っていうのをこの前、ラジオで僕とセキの喋る回のときにも出たんですよね。「ドラム式洗濯機は家電の王」っていう(笑)ルンバとかそういうことじゃなくて、何かドラム式洗濯機っていう存在が家電として1番最強の存在な気がするみたいな話ししてたんですよね。そのラジオのネタ入れた感じです(笑)
-僕もまさにドラム式洗濯機欲しいんで、勝手に共感しちゃいましたね。
駄菓子を大人買いできるけどドラム式洗濯機は買えないんだっていう。買おうと思えば買えるんですけど、ビビって買えないんですよね、ドラム式洗濯機。実はみんなこのドラム式洗濯機はすごくハマってるっすね。例えば、車とかっていうのをここで対比で出されてたら、ちょっと違うんですよ。車って頭金出してローン組んでやっと買えるものですから。でも、ドラム式洗濯機は手が出せるんですよね。普通の洗濯機でもいいのに、あえてハイクオリティなものを求めてドラム式洗濯機買っていくんでしょうけど。あとはドラム式洗濯機を入れられる家に住んでるとか。
-そうですよね。おそらく比較的ハイクオリティな生活をしている大人をイメージしちゃいます。
ケジメついてる大人って感じですよね。子どももいてみたいな。だから王様って言うのがしっくりきますね(笑)別に18歳でも成功者ならすごいいい車乗れると思うんです。でも18歳はドラム式洗濯機をあんまり買わないじゃないですか?
タッチパネルのドラム式洗濯機とか、「40万か…」って(笑)買えないことないけど、今じゃないな~みたいな感じが常にするんですよ。まさに30代を象徴する家電だと思いますよね。
-自分の事を言っているように錯覚させるのって、良い曲だけが持ってる特権だと思うんです。例えば、ミスチルの初期のラブソングって本当に自分のこと歌ってるような曲だからあそこまで売れてるのかなって個人的には思ってて。『大人』も同じように、共感だったりイメージさせられる力を持っているアルバムだと思ってます。
嬉しいですねえ。Spotifyとかってリスナーのデータとか見れるじゃないですか。それを見てるとやっぱり同年代くらいのリスナーが多いんですよ。良かったと思って(笑)

おめでたズは人生のサードプレイス
-狙って、してやったりなところですね、そこは(笑)じゃあちょっとアルバムについては一旦終わって、メンバーのパーソナリティについてもお聞きしていきます。みなさん学生時代からの知り合いなのでもうお付き合い的には13~14年くらいですよね。18歳19歳っていう大人になっていく過程を一緒に歩んできたメンバーかなと思うんですけど。個人的に「こいつ大人になったな」とか、感じた瞬間とかありますか。
大人になったなと思った瞬間かぁ…。う~ん…。保険の話とか始めた時ですね。ちゃんとこう生活に対して見つめ直しているぞ!っていう。学生の流れでずっと会ってたから、なんか割とその辺はラフにやってたんすけど。お金のマネジメントの話とか、納税のこととか、確定申告とかみたいな社会的なタスクとかの話題が出ると感じちゃいますよね。
-なるほど。確かにそれは思いますね。飲みに行った先で積立NISAの話とか友達がし始めたら「こういうこと考えるんだ…」みたいな(笑)
そうそうそう!ちょっとこうヒップなノリで今まで遊んできたけど、趣味の話とかじゃなくて生活の話とかが、垣間見える時になんか「おぅ!」「うぅ!」って(笑)

-ヒヒさんは個人的には自分の大人になったなっていうのありますか?
領収書切って奢ったりとかした時かな?後輩とかに奢ることは昔から出来るんですけど、そこでちゃんと領収書切るっていう(笑)あと、差し入れとかはまさにそうで、知り合いの店や家、お付き合いのある会社に何か持っていかないと気が済まなくなったとか。やっぱそんなんはあります。まあそれも領収書切るんですけどね(笑)
-なるほど。確かにそれは大人になったなと思うポイントですね。ちなみにメンバーの中では誰が1番大人っぽいですか?僕はヒヒさんかTOMOROさんやと思ってるんですよ。
いや、TOMOROが1番子どもですよ(笑)っていうか、TOMOROがそんなテキパキしてたら多分好きじゃないと思います。フワ~っとしてるからいいんですよ。癒し系です(笑)
大人なのは太郎とかセキかもしれないですね。やっぱ社会人というかちゃんと「会社員」って感じがしてます。
-あとはタワレコのポスターにも選ばれてましたよね!学生時代の自分達からしたら結構考えられないことじゃなかったですか?
本当にありがたいことですよね。僕らの地元の学校があった高岡って所の近くにもイオンがあって、昔はその中にタワレコがあったんですよ。週末にみんなで車で行って、そこでCDジャケ買いして、家帰ってみんなでバーッと聞いて、貸し借りしてっていうのをよくやってたんですよね。で、その時からもうNO MUSIC, NO LIFEっていう言葉は載ってたし、かっこよくて憧れはあったんですよね。まさか自分達が載ることになるなんていうのは全く想像もしていなかったんですけど。流石にちょっと自慢したい気持ちはいっぱいですね。

-なんか、その前の富山グラウジーズの、ハーフタイムでもライブやられてたりとか、着々と活躍のステージというか、駆け上がってますね。
ね~あれ面白かったっすよ!やっぱり、富山で精力的にやってるというところもあって、声かけてくださったという感じです。そう考えると東京や大阪で音楽やってたら多分また違う層に居たんでしょうね。偶然富山でずっと続けていたんで、富山代表的な感じで見つけてもらえたっていうのは嬉しいです!
-なるほど。今メンバーそれぞれのお住まいは?
セキと太郎が東京で。TOMOROが福島です。それ以外は富山です。
-その遠距離で練習とかってどうしてるんですか?
練習は時間見つけて集まってますね。例えば、レコーディングをするよっていう時のタイミングに練習の時間を設けたりとか、ライブの直前に集まってリハーサルしたりとか。
-これから先、おめでたズは目指すべきところというか、どうなっていきたいみたいな、展望があれば、決意表明としてお聞かせください。
じゃあリーダーとしてちょっと答えさせてもらうんですけど、展望はないです(笑)
-え!ないんですか!?(笑)
いや~ないっすね(笑)例えば、武道館とかアーティストらしい目標も正直なくて。どちらかと言うとやめないで、ずっとこのメンバーでいられたらいいなっていうのが大きいです。やっぱり最初から友達同士で集まっているっていうのもあるし、その瞬間瞬間を楽しんできたメンバーだから。それが今回のようにタワーレコードさんから声がかかったりとか、バスケットチームから声がかかったりするっていうのは、副産物的に嬉しいことであって、皆に聞いてもらうっていうのも副産物なんですよね。
どちらかというとメンバーで新しくて楽しい事ができてっていうことが大事だと思ってます。全員がおめでたズを人生のサードプレイスとして捉えているので。新しく身につけた考え方や技術、僕だったらデザインとかを持ち寄れるような。そこが楽しい場所であり続ける、っていうことはやっぱり大事だし、これからも続けていきたい、というだけな気がします。もっと売れたい、ファンを増やしたいって思ってたら、絶対富山じゃなく都市部で活動すべきだと思うけど、僕たちが選んだスタイルなので。それを大事にしていきたいとは思いますね。
-やっぱり地元を大事にしているっていうのは、本当におめでたズの素晴らしい部分ですよね。僕の好きなバンドも結構やっぱり地元を大事にしてらっしゃる方が多いので。KING BROTHERSとか、まさにそうかなって思うんですけど。マーヤさんは、N’夙川BOYSってバンドを組むくらい夙川が好きなわけで。本当にあの地域が好きなんだなあと。キュウソネコカミも西宮がお住まいのはず。音楽を自分の好きな場所から発信し続けられるってすごいことだなと思います。
発信者として、最近だとYouTuberとか特にそうですけど、いろんな場所でみんな頑張ってますもんね。やってることはアーティストの人も、YouTuberだって漫画家だって変わらない。自分らなりのスタイルを見出せるのであれば、どんな発信の仕方でも尊いことだと思ってます。

-特にコロナが流行ってライブの数も減っちゃって、でもその分ネットの配信とかそういうものが活発になった今だと、より都心に行かなくても影響力を持つことができる時代になりましたよね。ポジティブに考えればすごいいい時代になったのかなと思います。
うん。それこそ新幹線もそうですし、交通の便も良くなったりして、距離は昔より確実により近くなってると思う。大阪~神戸なんて一瞬だと思ってるし、そういった部分では全然ハードル感じてないですよ。それも僕たちが富山にいる所以なのかもしれないですね。会いたかったら会いに行けるし、っていう。
-距離は本当に関係ないなとは思いますね。不便なら出ればいいし、求めるものがあるならそっちに行けばいいし。ありがとうございます。じゃあ最後に、ファンの方に向けて、リーダーから、一言という形で。
メンバー全員がお恥ずかしながら30歳を迎えまして。それを記念してアルバムを出させてもらいました!やっぱり謎がいっぱいですが、楽しいこともたくさんある。ってことがこのアルバム制作を通して分かったことなので、是非皆さんも日々を祝って楽しく過ごしてください!
-今日はありがとうございました!

RELEASE
2022年4月22日(金) Digital Release
1.DANSU
3月6日”ダレデモダンスの日”
2.ライドンタイム
6月10日”時の記念日”
3.GOOD BEER
8月4日”ビヤホールの日”
4.コーヒーもう一杯(YAZZY BEATS)
4月13日”喫茶店の日”
5.Escalator
3月8日”エスカレーターの日”
6.ギブ&テイク(フンパツRemix)
3月4日”差し入れの日”
7.たばたば
1月13日”たばこの日”
8.程々
4月22日”大人の日”