童謡は”子供の歌”というイメージを持つ人がほとんどだと思うが、実は大人になって聴いてもグッとくるような奥深い世界観を秘めている。
私が好きな童謡の一つ「ぼくのミックスジュース」。この曲は意外とロックな歌詞に驚かされる。一度聴いたら忘れられない印象的な曲だ。
「おはようさんの大声と キラキラキラのおひさまと それに夕べの怖い夢 みんなミキサーにぶち込んで 朝はミックスジュースミックスジュースミックスジュース こいつをググッと飲み干せば 今日はいいことあるかもね」
今回は私のルーツでもある「童謡」のNAKAMIの話。
私は幼稚園教諭の母親の子供として生まれた。
母はいつも楽しそうに童謡を歌っていて、私も真似をして歌っていた。
どんな時も生活の中に歌があった。
童謡を通して私は生活に纏わることや物事の考え方などを覚えていった。
歌うことが楽しい。
このシンプルな感覚が今の私の歌への感性と想像力のルーツになっていると思う。
童謡は子供が初めて触れる音楽。
ピュアな観点から、人生の本質的な部分や世界の尊さを教えてくれる魅力的なジャンルだ。
朝起きてから寝るまでの当たり前のこと、季節の美しさ、生きる事が楽しいという感覚を音楽を通して知ることができる。
耳に残るフレーズを繰り返すのも童謡の特徴。
子どもが歌詞を自然と覚えられるように優しい工夫が施されている。
私の楽曲にも繰り返しのフレーズがよく出てくるのは、無意識に童謡の影響があるのかもしれない。
冒頭で話した「ぼくのミックスジュース」を歌っていた当時の私は、ミックスジュースという言葉のリズム感とメロディのワクワク感が好きでいつも繰り返し歌っていた。
そして今改めてこの曲を聴いてみると「毎日生きていると色々な出来事がある。それが全部混ざって人生という旨味になるんだ」という作詞家のメッセージが深く心に刺さる。
童謡は私にずっと寄り添ってくれる存在で、今も心に光を灯し続けてくれる。これからも本を読み返すようにこの『童謡』と共に歳を重ねていきたい。

BIOGRAPHY
ノンプロモーションながら楽曲クオリティの高さで、口コミを軸に日本国内はもとより一気に海外までその評判が届いたインディポップコレクティブcescoのボーカル/ソングライティングを担当していたuiがソロプロジェクトWuinguin(ウイングィン)を始動。
幼稚園教諭だった母親の影響から、たくさんの童謡に触れて育ち、7歳から聖歌隊に所属し、賛美歌をルーツに音楽的趣向を拡大させ、様々な楽器を手にして楽曲をカバーすることにより独自の歌唱法を取得。曲に合わせイメージを膨らませ、息の配分にも拘り表現するボーカル力とスモーキィな歌声を変幻自在に操り表現する歌で、憂いをまといつつも力強さとポジティブさをファンタジックな世界観に落とし込む独創性を獲得している。
楽曲は彼女のセルフプロデュース、宅録によるセルフレコーディングで制作されており、彼女の持つナチュラルな感性がベッドルーム系サウンドに落とし込まれている。
